2023.01.23

豊岡えりな『夜明け前 ~亀田郷1945~ 』 取材させていただきました

2023年2月4日(土)・5(日)に江南区文化会館にて上演される『夜明け前 ~亀田郷1945~』に、豊岡えりなが出演いたします。舞台の見どころや魅力を、今作の脚本・演出を手掛ける池田真一さんに伺いました。

まず池田さんと本作の関わりについてお伺いいたします。

僕は胎内市の出身です。東京で演劇の脚本・演出をやってきて、新潟に戻ってきてまた携わらせていただいてます。「座・未来」さんの脚本に関わるのは4回目、演出は3回目ですね。いつもは拠点の東区プラザで上演しているんですが、今回は江南区文化会館(江南区茅野山)が会場になり、亀田郷を舞台にした作品を創ることになりました。脚本は完全にオリジナルです。

脚本と演出、どちらも一人で行っているんですね。

楽といえば楽ですよね。自由にできるし、自分の世界が分かっているので演出しやすいというのは確かにあります。ただ、一人での作業だと自分の持っている世界を超えられない。だからこそ、役者さんが「そう来たか!」って演技を見せてくれると、嬉しくなります。豊岡さんや出演者みんなの力を借りて、作品がアップデートされています。

いつもと違う劇場での公演はどうですか。

劇場の座席が作品の重要なテーマでもある「稲穂」をモチーフにして造られているので、楽しみですね。道具の移動が大変ですけど(笑)

「座・未来」はどんな劇団でしょう。

レベルが高いですね!
東京でやっていた時と、脚本や演出のスタイルを変えていないんです。「市民劇団だから… 」といって調整するようなことは全く不要です。正直、市民劇団のレベルがこんなに高いとは思っていませんでした。

40人規模なので、稽古でなかなかみんなが揃うことは珍しく…というか今日の午前に初めて全員揃ったんですけど(笑) 幼児から70代までの約40人、三世代の役者たちに演じてもらえることで物語にリアリティが出るので、本当に贅沢なことだと思っています。

亀田郷は戦後まもなくまで信濃川下流域で最も開発が遅れた地域。「芦沼」「地図にない湖」とも表現され、日本海の潮位に左右される低湿地帯で、農業には過酷な土地条件だった。1939年(昭和14年)に国営土地改良事業が着手され、工事は戦後まで続き、ついに1957年(昭和32年)に乾田化に成功した。

亀田郷には水と戦ってきた人々の歴史がありますが、さらに「戦争」をテーマに加えたのはなぜでしょう。

今の世界の状況への憤りや怒りのようなものを伝えたくて戦時中を舞台にしました。1945年の6月の田植え頃から8月の終戦までの物語です。稽古を始めるにあたって戦争に関わる絵本や資料を子どもたちに読ませたりしたんです。そうすると、こういった題材の作品は辛くて出演できないという子たちもやはりいました。リアルなものを創る大変さを感じつつも、安易なハッピーエンドにしたくもないという葛藤がありました。

物語の中で国と国の争い、そして日本の中でも「大池」「中川」という二つの村の対立が描かれていますよね。どちらも和解やお互いのことを知るきっかけに「野球」というものが使われています。

身体を動かすこと、スポーツの力を伝えたかったんですよね、みんなで一緒に身体を動かすことの力を信じているので。戦時中の大変な状況の中、野球をしていた人々の姿を描きたいと思いました。実際に稽古の休憩中に、子どもたちがボールで遊んだりもしています(笑)

ロシアとウクライナの戦争が始まってから、日本国内でも公演やイベントの開催時に「芸術やスポーツは政治とは切り離されるべき」という論調もあれば、逆に「政治利用されている」と批判の対象になったりもしています。

難しいですね! どちらの立場もよく分かります。
「その文化団体・スポーツ団体に友人がいるかどうか」で大分感じ方が変わるんじゃないでしょうか。もし友人がいれば「開催するのなんてOKに決まってるだろ!」と考えると思います。国という枠組みの前に、友人の顔が浮かぶかどうかが重要な気がします。

豊岡さんの演じる「板山セツ」は、大陸に出征している、まだ会ったこともない夫の帰りを待つ教師の役です。演じていていかがですか。

豊岡「テーマがテーマなので演じていて、どんどん苦しい気持ちになっていく時もあります。ただ暗いだけで終わらないよう、少しずつ魂を込めて、明るい面も見せられるように演じています。」

本番まで後2週間ですが、いかがでしょうか。

豊岡「まだまだ稽古で色々な箇所が更新されていっているので、まだまだ頑張ります!
コロナなのでマスクが厄介なんですよね。マスクをはずして改めて稽古したら、全く違う印象になったり。え、そんな顔だったの、みたいな(笑)」

では最後に一言お願いします。

豊岡「重いテーマなので観に行きづらいと感じる方もいらっしゃると思いますが、それでも悲しい気持ちになって帰ってほしくないと思って演じています。過去にあった事実を受け止めた上で、たくましく生きていた人々の姿を見て、前向きな何かを感じて『明日から頑張ろう』と思っていただければと思います! 子どもたちが子どもを演じていることが、純粋に微笑ましいのでぜひ観ていただきたいと思います。」

池田「子どもたちが作品内で歌う軍歌の替え歌は、戦時中本当に歌われていたものなんです。過酷な時代でも、希望をもって子どもたちは楽しんでいた、当時の人々のキラキラした部分を観ていただきたいです。この作品の名前は『夜明け前』、たくましく生きた人たちがいたから今の亀田郷には稲穂が広がっている、僕たちは “夜が明けた” 時代に生きているんだ、ということを感じてほしいですね。」

ちなみに…。

豊岡「東区は本番に奇跡が起きるんですよ。稽古で不安だった場所が驚くほどうまくいくことが多くて。」
池田「僕は奇跡なんて当てにしてないですからね(笑) 本番日まで引き続き稽古に励みましょう。」

作品東区市民劇団 座・未来 公演『夜明け前 ~亀田郷1945~』
作・演出:池田真一
日時2023年2月4日(土)18:00
2023年2月5日(日)12:00 ※開場は開演30分前 / 上演時間1時間45分
会場江南区文化会館
料金前売券 一般 1,800円 / 高校生以下 1,000円 
当日券 一般 2,500円 / 高校生以下 1,500円
※前売券完売の場合、当日券の販売はいたしません。
公式HPhttps://za-mirai.info/wp/archives/350
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