豊岡えりな『赤鬼』 取材させていただきました

2022年8月にりゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館にて上演される『赤鬼』に、豊岡えりなが出演いたします。舞台の見どころや魅力を、Accendere代表の先川史織さん、今回の演出担当の岡田康之さんに伺いました。

どんなお話なんでしょうか。

先川「ある海辺の村に「あの女」と「とんび」という2人の兄妹が住んでいるんですね。二人はよそ者という理由で村八分にされています。そんなある日、浜辺に異人が流れつくんです。言葉が通じず、外見も自分たちとは違う異人を、村人たちは人を喰う「赤鬼」と思い込んで騒動になります。ただ、あの女だけは次第に赤鬼と心を通わせ、言葉も理解できるようになっていく。しかし――というようなお話です。」

なぜこの赤鬼という作品を上演しようと思ったのですか。

岡田「この作品は野田秀樹さんの作品なのですが、もともと劇団員に野田作品のファンが多かったということがあります。最初は別の作家の作品を上演する予定だったのですが、コロナ禍の影響で上演許可が取れなくなり、代わりに私が『赤鬼』を提案し、みんなが賛成してくれたという形です。新型コロナウイルスで全世界が混乱した、現実がフィクションを追い越したような状況の中、リアリズムの作品よりも寓話性の高い作品の方が響くとも考えました。」

舞台に特徴はありますか。

岡田「観客が舞台を挟む形での客席になります。なので気が抜けないですね。普通の舞台であれば、観客から見えない死角の部分が舞台上にあるのですが、ないので(笑) 技術的な面でも苦労はありますが、やはり俳優が一番気を遣うと思います。」

「あの女」は物語のキーパーソンですが、演じていてどうですか。

豊岡「自分に似ている部分があるなぁと思います。不器用だったり、頑固だったり、直感型だったり…(笑) その一方、ある意味純粋で影響を受けやすいキャラクターなので劇中の感情の動きが大きく、難しさを感じる事もありますが、そういった役やヒロイン枠をあまり経験してこなかったので楽しさも感じています。」

作品のテーマは。

先川「”差別”や”他人を拒絶する”ということがテーマとしてあると思います。普段の生活の中でも、自分の中にそういう考えがあることにハッと気づかされることもあります。ただ作品に教訓や反省もありますが、単純に面白いと思って観ていただければと思います。」

豊岡「常にタイムリーなテーマだと思います。新型コロナに感染された方が差別をされたりすることがありましたが、時代が変わるたびに新しい差別が生まれるので、普遍的なテーマだなと思います。」

公演に向けて手ごたえはどうでしょうか。

岡田「全体的に俳優の解像度が揃ってきたと感じます。リアリズムではなくデフォルメして体でしゃべる作品だと思っているので、開き直って暴れまわってくれればと思います(笑)」

最後に一言メッセージをお願いします。

先川「昨年コロナで中止になってしまった公演ですが、1年越しにやれることを本当に楽しみにしています。大勢の方に楽しんでいただきたいです。」

岡田「この作品は”人は知らないものを恐れる”というお話です。難しいことは抜きに、夏に観て気持ち良い疾走感のある作品になっています。”考えるより感じて”純粋に楽しんでいただければ幸いです。」

豊岡「昨年お越しになる予定だった方もそうでない方も、多くの方に観ていただいて楽しんでいただきたいです。テレビでの印象が強いと思いますが、舞台をご覧いただいて、また違った私の一面も感じていただけたら嬉しいです！」